Tuesday, July 14, 2020

健康意識の高まりで注目 東京・竹芝のオーガニック店|グルメクラブ|NIKKEI STYLE - 日本経済新聞

イオン傘下で有機食品専門店を展開するビオセボン・ジャポン(東京・中央)は6月17日「ビオセボン アトレ竹芝店」を開業した。オーガニック特化の食品スーパーとして2016年に設立し、着々と認知度を高めてきた同社。オフィス勤務者や近所の子育て世代にオーガニックを身近に触れてもらう仕掛けを用意する。新型コロナウイルスによる生活意識の変化をとらえられるかも注目だ。

浜離宮恩賜庭園を臨み、海風が吹き抜ける竹芝の一角に開業した「アトレ竹芝」の核店舗の1つになる。入り口は間口が広く、外のテラスから大きなガラス窓を通じて店内を見通せる開放的なつくりが印象的だ。ビオセボン・ジャポンの岡田尚也社長は「より多くの方に買い物を通じて新たな発見をしてほしい」と語る。

ビオセボンは16年に東京・麻布十番で1号店を出店し、竹芝店が18店目。同社でもオフィス併設の商業施設内への出店は初めてだ。竹芝は再開発でオフィスのほかマンションも増えている。近隣には子育て世代も多く、開業日はベビーカーを押した女性の姿も多く見られた。

竹芝店は売り場面積が約270平方メートルある大型店だ。その利点を生かし、店の中央部にキッチンを設置し出来たての弁当や総菜などを提供する。また近隣のオフィスで働く人向けに店内の専用コーヒーサーバーで一定期間、定額でコーヒーが飲み放題となるサービスも初めて導入した。「オーガニックを日常使いできるようにするのが当社のミッション。オフィスも住居向けもそうありたい」と岡田社長は強調する。

目を引くのが広々としたイートインスペースと、その隣でずらりと並んだワイン売り場だ。農薬などを使用しないオーガニックワインもある。アトレ竹芝の隣では劇団四季の新劇場も開業を予定している。現在は新型コロナの影響でイートインの利用を一部制限しているが、演劇後にふと立ち寄ってワインを楽しむことを想定している。

大型店の特徴を生かし、中央のキッチンで総菜などを調理

さらに近年増えているヴィーガン(完全菜食主義者)に対応した商品も充実させている。5月に開店した日吉店(横浜市)から取り扱いを始めた大豆や米などの植物性ミルク「イソラビオ」は竹芝店でも取り扱う。イタリアからビオセボンが直輸入することで単価を抑えた。より多くの客に植物性ミルクを知ってもらうための取り組みだ。肉を大豆などで代替した肉や、肉を一切使わないギョーザも用意する。

新型コロナはビオセボンにとっても大きな転機となった。在宅勤務の広がりで都心のオフィスへ通勤客は減っている。そこで3月には赤坂店でウーバーイーツを使った商品の宅配サービスも実験的に開始。新たな取り組みが生まれるきっかけとなった。

岡田社長はコロナに伴い「食事などのライフスタイルを見直す人が多く、健康意識の高まりでオーガニックが以前よりも広がっている」と話す。ビオセボンはコロナ下で客単価だけでなく、客数も大きく増えたという。「外食で楽しんでいたものを、家の中の食事でも取り入れたいというニーズもあり、新規の顧客が増えた」と話す。

コロナで注目が高まったビオセボン。変わるライフスタイルに適した店づくりを続けられるか。竹芝店が試金石となる。

(古川慶一)

[日経MJ 2020年7月8日付]

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