2023年、昭和の情緒を残した愛媛の老舗ベーカリーがひっそりとシャッターを閉めた。1950年から松山市中心部の南銀天街で営業してきた「三葉屋」。73年の歴史に幕を下ろしたが、特別なパンの味はこれからも受け継がれる。(正岡万弥)
🍞誉れの歴史
三葉屋は、店主の黒光保司さん(73)の父・黒光林丈さんが創業。保司さんによると、松山市で植樹祭が開かれた1966年、昭和天皇、皇后両陛下が道後の旅館ふなやにお泊まりになった際、朝食に三葉屋謹製の食パンが出されたという逸話が店の自慢だった。
73年の歴史に幕を下ろした南銀天街の「三葉屋」
2023年6月撮影。ずらりとパンが並ぶショーケースの向こうで店主の黒光保司さんがにこやかに切り盛りしていた
1966年の植樹祭で昭和天皇・皇后両陛下が召し上がったことをアピールする看板の前で撮られた先代店主・黒光林丈さん一家の写真。店の場所は当時から変わっていない(黒光保司さん提供)
人気商品の「コッペパン」は、給食でおなじみのあのパンではなく、現在は一般的に「メロンパン」と呼ばれる円形のパン。黒光さんによると、メロンといえば楕円(だえん)形の食材が主流だった時代に、その形を模した「メロンパン」と区別するためにコッペパンと呼んだ名残だという。創業時から変わらぬショーケースでの販売法も特徴だった。
三葉屋の「コッペパン」
しかし、2023年6月、黒光さんの体調不良などで一時的に店を閉め、再びシャッターが開くことはなかった。
昔懐かしく個性的なパンたちは失われてしまうのだろうか。
🍞もう一つの「三葉屋」
大丈夫。松山にはもう一つの「三葉屋」がある。
松山市雄郡1丁目の住宅街にある「ベーカリー三葉屋」の店舗
松山市雄郡1丁目の住宅街にたたずむ「ベーカリー三葉屋」。保司さんの兄・敏夫さん(74)と、妻ナナミさん(73)が営んでいる。2022年には創業70年を迎え、近隣住民が多く通う、地域に根差したパン屋さんだ。
「ベーカリー三葉屋」を営む黒光敏夫さん(右)一家
昔ながらのショーケース販売は南銀天街の三葉屋と同じ。おなじみのコッペパン(130円)はこちらでも人気商品だ。店内でカスタードクリームから作るクリームパン(120円)、国産の黒糖を使い、防腐剤を入れない黒パン(280円)のほか、モンブランやチーズケーキ(各220円)も手作りしている・・・
からの記事と詳細 ( 創業73年の老舗ベーカリー「三葉屋」閉店 受け継がれる「両陛下が食べた食パン」 - 愛媛新聞 )
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