《東京・池袋で平成31年4月、乗用車が暴走して通行人を次々とはね、松永真菜(まな)さん=当時(31)=と長女、莉子(りこ)ちゃん=同(3)=が死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた旧通産省工業技術院の元院長、飯塚幸三被告(89)の公判は、弁護側の被告人質問が終わり、検察側の質問に移った》
《検察側は、ドライブレコーダー(ドラレコ)の映像と飯塚被告の記憶違いについて追及していく》
検察官「(亡くなった)松永さん親子は、乳母車を押していたと言っていったが、ドラレコでは自転車だった」
飯塚被告「はい」
検察官「ドラレコでは、左車線に変更し右へ行き、また左と計3回、車線変更をしている」
飯塚被告「覚えてない」
検察官「ドラレコでは、前を走るバイクに接近して車線変更したように見える。焦った運転をしたという記憶は」
飯塚被告「全くない」
検察官「カーブを曲がるスピードが思ったより速く、自分でもスピードの危険を感じなかったか」
飯塚被告「危険は感じなかった」
検察官「(事故後に)警察官が運転を試した際、横滑り開始直前だったと(捜査資料に)ある。スピードについても、記憶違いがあったと思わなかったか」
飯塚被告「思わなかった」
検察官「(飯塚被告が事故直前に)『おー』という声を発したのは、焦ったということではないか。ドラレコを見て、(当時の)記憶が戻ることはなかったか」
飯塚被告「記憶が戻ることはなかった」
検察官「つまり、記憶違いをしていた」
飯塚被告「記憶違いの…(数秒沈黙)かもしれません」
《検察官は、飯塚被告の記憶と、実際に起きた状況に齟齬が多数あることを指摘していく》
検察官「結局、あなたの記憶と当時の違いは1つや2つではないということ。しかもね、どの車線とか、何をしようとしていたとか、重要なところでも記憶違いがある」
飯塚被告「ドラレコと違う点はあった」
検察官「そうすると、アクセルペダルが床に張り付いていたのを目視したというのは、どういう動きをしたのか」
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