【ソウル=建石剛】韓国人元慰安婦ら計20人が日本政府を相手取り、総額約30億ウォン(約2億9100万円)の損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁は21日、原告の請求を却下する判決を言い渡した。地裁は、国家の行為や財産は他国の裁判所で裁かれないという国際慣習法上の「主権免除」の原則の適用を認めた。今年1月には同地裁での別の元慰安婦訴訟判決で日本側が賠償を命じられており、地裁の判断が割れた。
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◆神戸大教授 木村幹氏(朝鮮半島研究)
日本政府に賠償を命じた1月の判決は、一部の学説を基にした国際法の解釈で日本の主権免除を認めなかったが、今回は国際法の実態を根拠に主権免除を認めた。2015年の慰安婦合意についても、被害者救済の効果があるとした。同じ争点で違う論理を使い、正反対の結論を出した。非常に画期的な判決だ。
地裁という下級審の判決で、日韓関係が大きく悪化しかねないという政治的な重みに、司法が耐えられなかったのではないか。韓国社会はポピュリズム(大衆迎合)的で、最近は急進左派の流れが強く、裁判所が示す判断もどんどん変わってきた。今回は変化が行きすぎではないかという不安感が働いたのだろう。
前回判決に関連して、日本政府の資産差し押さえを認めないという見解が示されたのもその表れだ。韓国司法はゴールポストが動くとよく言われるが、日本に有利な方向に動くのは非常に珍しい。
地裁は、日本の主権免除の否定や資産差し押さえはありえないという判断をした。現状、元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)訴訟問題では日本企業に対する請求は認められており、今後、韓国司法がどこまで日本の歴史問題を追及するのかという「一線」を探す作業に入ったと言える。(聞き手・ソウル支局 上杉洋司)
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