
国内の高齢者への新型コロナウイルスワクチン接種が始まった。政府は今後、一般の人たちにも接種を広げていく予定だ。日本では、過去の副反応問題からワクチンへの警戒心が根強い。私たちは、ワクチンとどのように向き合うべきなのか。ワクチンの歴史から学ぶべきことは何か。ウイルス学の大家である中山哲夫・北里大特任教授に「イチ」から聞くインタビューを、2回にわたって紹介する。【聞き手・永山悦子/医療プレミア編集部】
熱や痛みはワクチンの「主反応」
――中山先生は医療従事者向けの先行接種を受けたと聞きました。どうでしたか。
◆初日の夜にワクチンを打った左腕が重く感じ、翌日は腕が上がりにくくなりました。おそらく上腕にある三角筋に炎症が起きたのでしょう。しかし、2日目になると問題なく動かせるようになりました。一緒に受けた中に(アレルギー症状である)アナフィラキシーが出た人もいましたが、きちんと対処すれば重症化することはありません。
――副反応が海外よりも多いのではないか、と心配する声もあります。
◆ワクチンを打った後、熱や痛みが出ることを心配する人もいますが、私は、それらは「副反応」というよりも「主反応」だと考えます。ワクチンはウイルスなどに対する「免疫」をつける役割があり、発熱や痛みはその「準備段階」といえる症状だからです。一方、アナフィラキシーなどは受ける人にとっては好ましくないもの。今後、減らす必要があります。
――人類は歴史上、感染症との戦いを続けてきました。ワクチンはどのような役割を担ってきたのでしょうか。
◆ワクチンのパイオニア(開拓者)は、1796年に天然痘ワクチンを開発したジェンナーです。人の天然痘に似ており自然界で牛に感染する病原体によって人に免疫をつける方法を発見し、人類は感染症に対する「武器」を手に入れました。続いて、パスツールが人為的に病原性をなくしたワクチンを開発し、さらにウイルスなどのたんぱく質の一部を投与するワクチンが生まれ、現在は、遺伝子を使うワクチンが登場しています。人類は科学の英知を結集し、感染症に対抗してきたといえます。しかし、それにおごってはなりません。残念ながらワクチンにはマイナスの側面もあるからです。
ワクチンの歴史は、失敗の歴史でもあります。…
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