栃木県足利市の山林火災は、発生5日目となった25日も延焼が続いた。市は約100ヘクタールが燃えた両崖(がい)山、天狗山の山際にある5地区の林縁部を「防衛線」と位置付け、民家への延焼を食い止める消火方針を明らかにした。市は同日、県を通じ国に緊急消防援助隊の派遣を要請。災害時協定などに基づき、既に応援に入っている近隣市などの消防隊を援助隊として再編し、同隊が今後の消火活動を指揮する。
和泉聡市長は大方針として、市街地(住宅地)への延焼阻止▽人家との臨界線は地上消火▽自衛隊などによる空中散水との連携――を示した。その上で、両山域南側の西宮町と今福町、西側の大岩町、東側の本城1、北東側の月谷町を「防衛線」と位置付けた。消火栓のほか、高校のプールや農業用ため池、農業用水などの水源を確保し、地上から民家に近い林縁で延焼を食い止めるという。
この日も宇都宮、小山、群馬県太田、桐生市など県内外の9市の消防から隊員約150人が応援に入り、各防衛線で放水作業などにあたった。消火栓を水源にした今福町での消火に伴い、五十部町の一部で上水道の水圧が下がり、一時断水。また、市長のSNS(ネット交流サービス)には「煙を吸って気分が悪い」との投稿があったという。
福田富一知事は同日夕、現地を視察。同市西宮町の現地対策本部で「県内5市消防が広域支援に入っているが、必要なら他の6市にも呼び掛ける。水を運ぶ生コン車や給水車の調達など効率的な水の確保なども協力する。災害救助法の適用で、避難生活などへの支援の準備は整えた」などと述べた。【太田穣】
火災長期化、住民「恐怖感じる」
山からもうもうと立ち上り続ける白煙を、住民たちは心配そうに見つめた。
両崖山近くの同市西宮町に住む民生委員、石原里視子さん(71)は「燃えている範囲が広くなり、火の勢いもひどくなっているように見える。恐怖を感じている」と表情を曇らせた。火災後は、ボランティアとして避難所の運営に加わり、避難勧告が出ている地域を回って避難の呼びかけもしている。「何かあればいつでも避難してもらえるように、しっかりと準備したい」と話した。
火災が長期化するにつれ、現場から離れた地域の住民にも影響が出てきている。自衛隊などのヘリが散水のために給水する渡良瀬川の近くに住む無職男性(71)は「ヘリの音が大きくて眠れない。早く火事が収まってほしい」と訴える。
24日夜からは北関東自動車道の足利インターチェンジ(IC)―太田桐生ICが上下線で通行止めになり、一般道の渋滞が目立ち始めた。市内の飲食店で働く男性従業員(49)は「他県ナンバーの車も多く見かけた。火事を見に来たのかもしれないが、日常生活に影響が出るので、やめてほしい」と話した。【渡辺佳奈子、玉井滉大】
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