大阪、京都、兵庫の3府県が緊急事態宣言の発令を要請した9日、政府は1週間程度状況を見る方針を示した。
政府が状況を見極めるとしたのは、大阪府などの感染拡大状況を慎重に検討する必要があると判断したためだ。政府の分科会委員は、昨年末から年始にかけて減少傾向にあった新規感染者数が5日以降、急増した点を注視している。
8日の記者会見で委員の押谷仁・東北大教授は「18~39歳の若年層の感染者が急増している。これをどう解釈するか議論しているが、すぐに結論は出せない」としつつ、「年末年始の休みの間に、比較的若い人たちが検査を受けた結果が報告された影響も考えられる。きちんと精査しなければならない」と指摘した。
また、検査件数に対する感染の割合を示す「陽性率(1週間平均)」が、大阪では高い時期でも8%台で、東京が14%を超えていることに触れ、「大阪はいったん下降傾向にあった。東京とかなり状況が違う」とした。
尾身茂会長も、大阪の感染者数の増加ペースが東京に比べ「不規則だ」とした上で、今後の予測について「増加の原因をしばらく分析しないと、予断を持って語ることはできない」と話した。
大阪府の専門家会議座長で、全国の動向も注視する
日本総研の若林厚仁・関西経済研究センター長は「医療が逼迫している関西で緊急事態宣言の発令はやむを得ない」としたうえで、発令まで1週間程度の状況を見極める点については、「政府としては、経済にも影響する緊急事態宣言は出したくないのが本音だろう。そのため、専門家の意見を踏まえて最終判断することにしたのではないか」と分析する。
りそな総合研究所は、現在の時短営業要請に加えて、3府県に宣言が発令された場合、関西2府4県で1か月間で3200億円程度の消費の落ち込みにつながると予想する。百貨店の休業など幅広い産業に影響が出た昨年の緊急事態宣言とは異なり、今回は飲食やレジャー関係に打撃が集中すると見込む。
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