持続可能な農業を実現する官民連携のプラットフォーム「日本オーガニック会議」が、設立に向けた準備を進めている。農業における脱炭素や地域振興の推進役として、今後は大きな存在感を発揮することになりそうだ。(オルタナ編集部・長濱慎)
■官民連携のプラットフォームとして、2050年までに有機農地25%を目指す
有機農業生産者らからなる設立準備会は「日本オーガニック会議」の目的として、4つを掲げている。
1.有機農業を核とした農業の担い手を増やす(生産の拡大)
2.オーガニック市場を拡大する(消費の拡大)
3.中央省庁や自治体なども参加した官民連携を進める(連携の創出)
4.イノベーティブな行動変容を創り出す(普及啓発)
会議の設立を後押しした一因には、本格的に動き出した国の農業・環境政策がある。農林水産省は2021年5月、「みどりの食料システム戦略」を策定し、2050年までに農林水産業のCO2排出量実質ゼロや、化学農薬使用量の50%低減(リスク換算)を打ち出した。
さらに同戦略では、耕地面積に占める有機農地の割合を2050年までに25%・100haに増やすとしている。現在は0.5%であることを考えると野心的な目標であり、達成には関係者一丸となった取り組みが必要だ。
また、環境省は「地域循環共生圏」をはじめとする地域社会の振興や脱炭素、生物多様性の保全に向けた施策を進めている。
「日本オーガニック会議」はこれらの取り組みを推進する官民連携プラットフォームとして、大きな役割を担うことになるだろう。第1回目の会議は、2022年5月〜6月頃を計画している。
編集プロダクション勤務を経て、都市ガス業界のPR誌で約10年、メイン記者として活動。エネルギー業界のオピニオンリーダーへのインタビューや、全国各地の都市ガス事業者の省エネプロジェクトを取材する。2019年フリーランスに。環境、エネルギー、人権、SDGsなど、取材ジャンルを広げてサステナブルな社会の実現に向けた情報発信を行う。プライベートでは日本の刑事司法に関心を持ち、冤罪事件の支援活動に取り組む。
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