Sunday, January 17, 2021

大学共通テスト受けた高校生「理系でも国語力が求められている」 - livedoor

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 17日に第1日程が終わった大学入学共通テストは、多くの科目で、身近な話題を題材にしたり会話文を盛り込んだりする新しい傾向の問題が目立った。

 一方で、2017、18年の試行調査で指摘された出題方法などの問題点を修正した科目もみられた。文部科学省は今回のテスト結果も参考にして、24年度以降の入試制度改革にとりかかる。

 100メートル走のタイムが最も良くなるストライド(1歩の長さ)とピッチ(1秒あたりの歩数)を、2次関数を用いて考える。

 これは「数学I」「数学I・数学A」の問題だ。ほかにも高校生の読書に関する新聞記事を扱った「数学II」「数学II・数学B」や、生徒が光合成の実験を行う計画を取り上げた「生物」など、2日目も受験生に身近な出題が目立った。

 こうした問題が増えた背景には、2022年度から高校で導入が始まる新学習指導要領がある。学んだことを日常生活で生かすため、資料を読み、調べ、話し合い、課題を解決する――。新指導要領は、そんな「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)を各教科に採り入れ、「思考力・判断力・表現力」を育成するように高校に求めるからだ。

 こうした力を測るため、17年に国語・数学への記述式問題の導入と、英語の「読む・聞く・話す・書く」の4技能を測る民間試験の活用が決まったが、いずれも19年に見送られた。だが、従来からのマークシート式問題も出題の内容や方法などが見直された。

 一方、17、18年に実施された共通テストの試行調査の結果を受けて、今回、一部の科目で出題方法などが修正された。

 数学の2科目では、試行調査で多く見られた「太郎さんと花子さん」の会話文は減った。2回目の試行調査で平均正答率がどちらも5割を切り、記述式問題を含んでいた「数学I・数学A」を中心に「時間が足りない」との指摘が相次いだためだ。それでも今回、問題文の情報量はセンター試験より増えた。大手予備校は、難易度に大きな変化はなかったとみている。

 記述式問題はなくなったものの、「数学I・A」の試験時間は当初の予定通り、センター試験よりも10分長い70分が維持された。新傾向の問題は考える時間が必要だと考えられたためだ。それでも大阪市立の高校3年の男子生徒(17)は、問題文が長いと思った。化学も「問題文が長く、読んで理解するのに時間がかかり、解答時間が足りなかった」と振り返る。「理系でも、問題文を読解する国語力が求められていると感じた」と話した。(編集委員・増谷文生、花房吾早子)

■どうなる記述式

 そもそも、共通テストの「二枚看板」は、記述式問題と英語民間試験だった。だが、ともに活用は見送られ、仕切り直しの議論をしている間に初回を迎えることになった。

 一昨年末に記述式問題の導入を見送った文科省は昨年1月、新たな入試制度を検討する有識者会議「大学入試のあり方に関する検討会議」を立ち上げた。会議には、入試専門家や教育学者、大学・高校の各団体代表らが参加。高校3年間を新指導要領で学ぶ、今の中学2年生が大学受験を迎える24年度以降の入試制度について、すでに20回にわたり議論してきた。今回のテスト結果も参考にして年度内にも文科省への提言をまとめる予定だ。

 会議では、共通テストでの記述式問題や英語民間試験の活用には否定的な意見が目立つ。昨秋報告された文科省の調査結果でも、大学の8割超が共通テストに記述式問題を出すべきではないと答え、大学の8割弱が英語4技能は入学後に独自に評価すべきだと考えていた。会議関係者は「大きな混乱を招く恐れがあった改革を『やっぱりやる』と言うには根拠がなさすぎる。各大学が個別に工夫して評価する方が現実的だ」と話す。

 24年度以降の共通テストは、新学習指導要領で必修となる「情報」が新設されるなど出題科目が再編される見通しだ。さらに、家庭の経済環境や障害の有無にかかわらず安心して受験できる配慮のあり方や、入試のデジタル化なども議論されている。文科省は会議の提言を踏まえ、今夏までには制度改革の内容を公表することになっている。(伊藤和行、西村悠輔)

■大学入学共通テストを巡る経緯

1979年 第1回共通1次試験。国公立大が利用

  90年 第1回大学入試センター試験。私立大が参加

2006年 英語にリスニング導入

  12年 「地理歴史」「公民」で大規模な問題冊子の配布ミス

  13年 教育再生実行会議が新テスト導入を提言

  14年 中央教育審議会がセンター試験廃止と新テストでの記述式問題や英語民間試験の活用を答申

  17年 20年度からの大学入学共通テストの内容公表

  17〜18年 各年1回ずつ試行調査を実施

  19年 英語民間試験の活用と記述式問題の導入を見送り

  20年 24年度以降の新入試制度の検討会議スタート

      最後のセンター試験実施

  21年 第1回大学入学共通テスト

夏ごろ   24年度以降の新入試制度の内容を公表

  25年 新入試制度での共通テスト実施

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