新型コロナウイルスの感染拡大が続く東京都で28日、感染防止のため酒類を提供する飲食店やカラオケ店などへの午後10時までの時短要請が初日を迎えた。都の求めに応じる店がある一方で、3度目の時短要請に「もう限界」と応じない店もあった。
東京都新宿区の「カラオケサロン雅」は27日までは午後11時まで営業していたが、28日から時短要請に従った。夫婦で店を経営する森田昭さん(76)は「感染防止を考えると仕方がない」と話す。
店は最大15人程度が入れる規模で常連客に親しまれてきたが、コロナ禍で客は例年の半分程度。毎月、家賃など固定費の支払いに約30万円かかり赤字が続く。森田さんは「店の状況は厳しいが、早くコロナが収まってもらいたいので要請には従う。でも、このままでは収まりそうにない。また緊急事態宣言を出してもいいのでは、とも思う」と話した。
町田市のJR町田駅近くにある居酒屋「酒蔵 初孫」も8~9月の2回目の時短要請に続き、今回も要請に応じる。代表の高橋英臣さん(52)は「本当は通常営業を続けたいが、従業員やお客さんの健康を考えるとやむを得ない」と複雑な心中を語る。平常時も午後11時に閉めるため営業時間は大きく変わらないが、「午後10時台は『終電前にもう一杯だけ』という注文が多い時間帯なので、痛手は大きい。コロナで減った分は年末に取り返そうという気持ちでやってきたのだが……」と嘆いた。
一方、「今回応じるつもりはない」と語るのは新橋地区の居酒屋の男性店長(46)。過去2回の時短要請には従ったが、経営への打撃は大きく、「12月の繁忙期を逃したら店は年内で確実に潰れる」。協力金40万円にも「正直がっかり。そんな金額で持ちこたえられる店がいくつあると思っているのか」と憤る。店では強めの消毒液や除菌力が強いというおしぼりを使い、換気も頻繁に行うなど感染防止に力を入れている。店長は「できる限りの感染予防をして営業を続けるしか道はない」と話した。【巽賢司、斎川瞳、李英浩】
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