Monday, October 11, 2021

財務次官の「バラマキ批判」寄稿が波紋、与党内に不快感…首相らは静観 - 読売新聞オンライン

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 財務省の矢野康治次官が8日発売の月刊誌「文芸春秋」に衆院選や自民党総裁選を巡る経済対策などの論争について、「バラマキ合戦」と寄稿したことが波紋を広げている。岸田首相らは静観しているものの、衆院選を直前に控える中の財務省事務方トップの異例の発信に、与党内からは不快感を示す声も出ている。

 「議論として、色んな考え方、意見は当然あっていい。いったん方向が決まったら、しっかりと協力してもらわなければならない」

 首相は10日のフジテレビの番組でこう述べた。松野官房長官も11日の記者会見で「財政健全化に向けた一般的な政策論について私的な意見を述べたものだ」と受け流した。

 4日に発足した岸田内閣は、新型コロナウイルス禍で「必要な財政支出はちゅうちょなく行う」と訴え、衆院選後にまとめる経済対策で、事業者や子育て世帯などに給付金を支給する方針を打ち出している。矢野氏の寄稿は、これら衆院選のアピール材料に冷や水を浴びせた形となった。

 矢野氏は寄稿で、日本の財政状況を「(沈没した英国の豪華客船)タイタニック号が氷山に向かって突進しているようなもの」と表現し、将来的な財政破綻に警鐘を鳴らした。首相が総裁選で掲げた「数十兆円規模の経済対策」にも触れ、「まるで国庫には、無尽蔵にお金があるかのような話ばかりが聞こえてくる」と指摘した。

 矢野氏は主税、主計両局長を歴任した後、今年7月に一橋大出身者として初めて財務次官に就任した。12~15年には、当時官房長官だった菅前首相の秘書官も務めた。省内きっての厳格な財政再建論者として知られ、「政治家が相手でも直言できる人物」と評される。

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