自民党役員人事と組閣を経て4日に船出した岸田新政権は、党幹部に重量級の人材を配置する一方で、初入閣が13人もいるなど、官邸主導から党主導への転換が見て取れる。先の総裁選での「論功行賞」も明白で、安倍政治の継承を掲げた菅政権以上に安倍晋三元首相、党副総裁となった麻生太郎前副総理の影響力が強まったようにも映る。
岸田文雄首相は総裁選で、官邸のトップダウン型の政策決定を見直すと主張。「政高党低」とされた状況を変えるため、衆院選を指揮する幹事長に安倍、麻生両氏に近い甘利明氏、政策を取りまとめる政調会長に安倍氏が後押しするタカ派の高市早苗氏を登用した。閣僚には総裁選で支援を受けた派閥の「入閣待機組」や若手らを相次いで起用したことで、重鎮らが居並ぶ党の存在感が一層際立つ。
党内基盤が盤石と言えない岸田氏にとって、後ろ盾となる安倍氏、麻生氏の意向は無視できない。新自由主義からの脱却や分配重視の政策への転換など、表向きは改革を訴えても実現性を疑われるのは、権力構造の裏側が透けて見えるからだ。衆院選公約の責任者の高市氏は、敵基地攻撃能力の保有を発展させた「敵基地無力化を可能にする法整備」を主張するなど「安倍カラー」が色濃い。
立憲民主党の枝野幸男代表は4日、岸田新政権について「表紙しか替わっていない」と言い切った。衆院選では、首相交代だけでは変わらない安倍・菅政治の「本質」が問われることになる。(生島章弘)
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