夫婦別姓を認めないのは合憲か違憲か。5年半ぶりの最高裁の回答は再び合憲で、「国会マターだ」と積極的に関与しない姿勢も変わらなかった。ボールを受け取った政治側だが、自民党では賛否が割れる。司法と政治のはざまで当事者らが置き去りにされた状況が続く。
「決まり文句」使い前回判決を踏襲
2015年の大法廷判決の「趣旨に徴(ちょう)(照ら)して明らか」――。23日に示された最高裁決定の多数意見は、判例を踏襲して説明を終えるときの「決まり文句」を使って、夫婦同姓は合憲との結論を導いた。
その分量はA4で2ページ。10ページだった15年判決の5分の1しかない。夫婦別姓について「この種の制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄」という締めくくりに使った言い回しも、まったく同じだった。
子どもを含めた家族の姓を同じにすることは対外的に「家族」と認識させる合理性があり、違憲と判断できるのは国会が制度設計を著しく怠ったときだ――。15年判決は、こうした判断の枠組みを詳しく示した。だが今回の決定は、判断理由の詳細を自ら説かず、多数意見に賛成した3人の裁判官による「補足意見」に委ねる形をとった。
今回の新たな論点の一つとなった戸籍法の規定についても、詳しく触れたのは補足意見の中だった。
弁護団は、民法だけが審査対象になった15年判決で「違憲」とした少数意見をふまえ、戸籍法により婚姻届の提出が婚姻の「絶対条件」となっていると新たに訴えた。この点について、補足意見は戸籍の仕組みは婚姻を選んだ人への「間接的な制約」であって、意に沿わない人にまで制約を課していないと言及した。
合憲から判断を変えうる「社会の変化」についても、補足意見が分析した。
前回の判決から決定が出るまで5年半たったが、実際の審査対象期間は、婚姻届が不受理となった18年2~3月までの2年余りと説明。この間に女性の就業率が48%から数ポイント上がったことや、17年の世論調査で選択的夫婦別姓を「導入してよい」とする意見(42・5%)が「必要ない」(29・3%)を初めて上回ったことなどをふまえても、まだ結論を変えるには至らないとした。(阿部峻介)
「違憲」選択した裁判官の反対意見
「いつ誰と結婚するかは、単に婚姻という法制度を利用するかどうかの選択ではない。その後の人生を共にする伴侶に関する選択であり、個人の幸福追求について自ら行う最も重要な意思決定の一つだ」
夫婦同姓の規定を11人の判事が合憲とした23日の最高裁大法廷の決定で、違憲と判断したのは4人の裁判官。検察官出身として初めて違憲を選択した三浦守裁判官はこう述べたうえで、合憲とした意見への反論を重ねていった。
まず、同姓規定は、夫婦で姓…
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