2021年06月26日07時15分
東京五輪・パラリンピック開催をめぐり、天皇陛下が新型コロナウイルス感染拡大につながることに懸念を示されていると「拝察」した西村泰彦宮内庁長官の発言が波紋を呼んでいる。陛下や長官の真意はどこにあるのか。憲法が禁じる天皇の政治的発言には当たらないのか。憲法や皇室に詳しい専門家に話を聞いた。
組織委事務総長「最善尽くしたい」 宮内庁長官発言受け〔五輪〕
九州大の南野森教授(憲法学)は「長官が想像で発言するとは考えられない。憲法に触れないよう『拝察』という形を取っているが、実際は天皇の真意を語っているのだろう」とみる。
「開催を懸念する気持ちはよく分かるし、個人的には支持したい」としつつ、「天皇の気持ちの代弁は悪用されれば政治利用につながる。それこそ憲法が警戒していることで、安易に認めてはいけない」と指摘。特に、五輪開催のような国民の間で意見が分かれる問題については政治的意味を帯びるとして、拝察でも憲法上問題があるとの認識を示した。
皇室制度に詳しい小田部雄次・静岡福祉大名誉教授(日本近現代史)も、陛下の意向を受けた発言との見方は同じ。ただ、政治的発言には当たらないという考えだ。
「天皇は立場上、政府の方針にノーと言えない。開催に懸念を示していることを憲法に触れない形で国民や世界に広く伝え、歴史に残す意味があるのではないか」と分析。「本当に中止を望んでいるのではなく、より良い形でやってほしいというメッセージだろう」と推し量る。
「今回は直接中止を求めたわけではなく、政治的と捉えるのはやや狭い見方だ」とした上で、上皇さまが在位中に内閣の承認を得て戦没者の「慰霊の旅」を続けたことに触れて「象徴天皇にはそういう自らの意思を反映した行動があっていい」と語った。
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