田中角栄元首相の金脈問題を雑誌で追及して退陣に追い込むなど、戦後ジャーナリズムに大きな足跡を残した評論家、ジャーナリストの立花隆(たちばな・たかし、本名橘隆志)さんが4月30日午後11時38分、急性冠症候群のため死去していたことが23日分かった。80歳。長崎市出身。葬儀は家族で「樹木葬」として行った。
宇宙や脳死からサル学、歴史まで多彩な著作を手掛け「知の巨人」として知られた。遺族によると、糖尿病や心臓病などの持病があり、入退院を繰り返していた。新型コロナウイルスには感染していなかったという。
1974年10月、田中首相を巡る資金の流れと蓄財を綿密に調べ、月刊誌「文芸春秋」に「田中角栄研究」を発表。田中金脈問題に斬り込んだ。田中内閣は2カ月後に総辞職。76年に発覚したロッキード事件でも批判を展開し、裁判の傍聴記を発表し続けた。
「日本共産党の研究」「宇宙からの帰還」「サル学の現在」「臨死体験」「天皇と東大」など多数の著作がある。1983年に菊池寛賞、98年には司馬遼太郎賞。「脳死」で毎日出版文化賞、「武満徹・音楽創造への旅」で吉田秀和賞も受けた。(共同)
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