食品スーパーは、売場の差別化策として「惣菜」「インストアベーカリー」に注力している。直近の新店からインストアベーカリー展開例を挙げると、「サミットストア上星川店」(横浜市保土ケ谷区)は売場からガラス越しに厨房(ちゅうぼう)を見えるようにし、作りたて・出来たてのライブ感を演出。窯(つぼ)焼きピザ、店内製造のサンドイッチ、調理パン、ドーナツを充実した。
「東急ストア綱島駅前店」(同市港北区)は建て替えを機にインストアベーカリーを導入、100円パンを中心に食パンや調理パン、ベーグルなど30種類以上の品揃えを展開。「イオンスタイル戸塚」(同市戸塚区)は、チョコレートやミックスベリーなどのデザートピザを初導入。手軽に食べられる4分の1サイズで販売するなどといった具合だ。
食品スーパー各社が注力する「惣菜」「インストアベーカリー」の特徴は、「独自性を打ち出しやすい」「来店頻度アップ」という店舗側のメリット、そして「すぐに食べられる」という消費者側のメリットが両立しているところだ。しかし、「惣菜」は食品スーパーの利益の稼ぎ頭なのに対し、「インストアベーカリー」はオペレーションの問題なのか、売価設定の問題なのかは各店により事情は異なるが、利益を出しにくい部門である。
だが、それらの問題を解決し、「インストアベーカリー」を看板部門にしている食品スーパーもある。パンは、今やコメに変わる日本人の主食であり、即食・簡便のライフスタイルにマッチした食品だ。問題点を見いだし、問題を解決すれば惣菜と並ぶ看板部門になりえる。
新型コロナウイルス感染拡大を受け、ベーカリー業界では、陳列商品の個包装化や透明シートで覆うなどの飛沫感染防止対策を進めている。厚生労働省は、ホームページで「食品そのものによる新型コロナウイルス感染症に感染したとされる報告はない」とし、実施は各店舗の自主判断によるものだ。自主的な衛生対策が、新たな需要の掘り起こしになることを期待したい。
※日本食糧新聞の2020年4月24日号の「スイーツ&ベーカリー特集」から一部抜粋しました。
日本食糧新聞社
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