関西人のパン好きは、せっかちだから? 年間支出額、トップ10に関西勢ずらり 神戸は4年ぶり日本一に |
更新日:2024年03月17日
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食パンや総菜パンなど約160種類の商品が並ぶ店内=神戸市中央区元町通1、イスズベーカリー元町店
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イスズベーカリーの人気商品「トレロン」は約70センチあり、フランスパンの生地にソーセージなどが入っている=神戸市中央区元町通1
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神戸新聞NEXT
およそ200店舗がひしめき、全国有数の「パンのまち」と知られる神戸市。今年2月、総務省が発表した2023年の2人以上世帯の家計調査で、同市のパンの年間支出額が、4年ぶりに都道府県庁所在地と政令市の中で1位になった。よく見ると、上位には関西の自治体が目立ち、過去10年間のトップは関西勢が独占している。関西人はパンが好きなのか-。ランキングの背景を探った。(千葉翔大)
神戸にはパンの人気店が多い。1946年創業の老舗パン店「イスズベーカリー」(神戸市兵庫区)もその一つ。3月上旬の昼過ぎに元町店(同市中央区)を訪れると、店内は親子連れやスーツ姿の会社員でにぎわっていた。
店頭には、食パンや総菜パンなど約160種類が並ぶ。定番の人気商品に加え、毎月、職人からアイデアを募り、数種類の新作パンを販売しているという。
「きなこドーナツ」(1個226円)などを購入したアルバイトの男性(68)は「神戸にはパン屋がたくさんあり、店ごとに違う特徴の味わいを楽しめる。少し値段は高くても、厳選した材料で安心して食べられる」と話していた。
総務省の家計調査は、全国の約9千世帯の家計簿から品目ごとの支出額などを算出した。
パンの世帯当たりの年間支出額を見ると、神戸市は4万1183円で、バターロールやフランスパンを含めた「食パン」は1万3468円。いずれも全国トップだった。原材料の価格高騰などの影響もあるとみられるが、世帯当たりの購入量は3位で、高級志向がうかがえる。
神戸は1868年の開港をきっかけにパンの文化がいち早く根付いたとされ、同調査でも上位の常連になっている。
前回1位だったのは2019年。順位を下げたその後の3年間は、新型コロナウイルス禍での買い控えなどが影響したとみられる。兵庫県パン商工組合の井筒英治理事長(75)は「ようやくコロナ禍前の客足が戻ってきた」と安堵(あんど)する。
「パンのまち」として、パン業界はイベント開催などで市民へのPRや人材育成に力を入れてきた。井筒理事長は「神戸にはイタリアンや中華、フランス料理の人気店も多い。舌の肥えている人たちに認めてもらえるよう、今後もコンテストなどでパン職人たちの腕を磨いていきたい」と力を込める。
■トップ10に大津や京都も
今回の調査結果で目を引くのが、パンの支出額や購入量の上位10位に関西の自治体が多いことだ。
支出額では、神戸をはじめ、2位の和歌山市、3位の大津市、6位の京都市、8位の大阪市の計5市がランクイン。さらに購入量を見ると、堺市や奈良市も加わり、10市中7市を占めた。
同調査では、食卓に並ぶ機会が同じ程度であろう「米」や「麺類」についても調べているが、こうした偏りはみられない。米の購入量に限ると、上位10市に関西は和歌山市しか入っておらず、「パン好き」の傾向が見られる。
ちなみに、支出額で3位だった大津市は、例年ほぼ10位以内に入っており、17、22年は1位だった。「子育て世代を中心に、大阪や京都に通勤する人が多い。通勤に時間がかかり、忙しい朝は炊飯の必要がないパンを選ぶ傾向があるのではないか」。地元の業界関係者からは、こんな推測も聞かれた。
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関西の自治体でパンの消費が多い理由はあるのだろうか。
消費者行動に詳しい流通科学大マーケティング学科の後藤こず恵准教授(ブランド戦略論)は「関西人のせっかちな性格と、手軽に素早く食べられるパンが合うのだろう」とみる。
中でも神戸は、老舗から新規店までマーケット(市場)が広がっており、消費者に多くの選択肢を与えられることが購買意欲の向上につながりやすいという。
後藤准教授は「今後も全国的に、単身者や共働き世帯など朝をせわしなく過ごす人が増えていくため、パンの需要はさらに伸びる。神戸の消費者の間でも、パンの存在感がより高まっていくのではないか」と分析する。
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