清澄白河の人気ベーカリー、「中村食糧」が「しかたらむかな」と店名を改め、2023年7月20日に飯田橋でオープンした。カウンターに並ぶパンは、定番・限定商品を合わせて30種類ほど。以前は12種ほどだったが、設備を拡張し、商品数も倍増した。
中村食糧時代はオーナーシェフの中村隆志と販売を担う妻の2人体制で営んでいたが、しかたらむかなでは、厨房に一人増員したそう。いずれにせよ少人数にこだわる背景について中村は、「パンは自分の作るものがそのまま出てくるものだと思っています。そのため、なるべく間に人を介さず自分の思いを込めたパンを届けたいのです」と思いを語る。
ボーダーレスな看板メニュー「みんなのパン」
ここからはおすすめの商品をいくつか紹介しよう。マストで食べてほしいのは、中村食糧時代からの看板メニューでもある「みんなのパン」(626円、以下全て税込み)だ。いわゆるフランスパンやドイツパンなどといったジャンルにとらわれず、ボーダーレスで自分らしいパンを作りたいという思いで発案された。こだわりの自家製酵母と、もっちりとした食感を生み出す国産小麦を数種類混ぜ合わせ、滑らかな生地になるように丁寧にこねた生地を長時間発酵させる。
一見固いサワドーブレッドのように見えるが、触った瞬間にそのイメージは覆される。表皮は薄く、中身は食パンのように柔らかい。水分がたっぷり含まれているため、そのまま食べるとレアっぽさを感じるほどもっちりとした食感に驚く。中村がおすすめする食べ方は、少し焼いた後にバターと蜂蜜をかけるというもの。焼き目を入れることで、外はカリッと感が増して香ばしく、中は少し重みが加わりもっちりとした食感に。小麦と塩と酵母のみというシンプルかつ厳選された素材の味わいがストレートに感じられる。
シンボル的なデザートブレッド「イチゴ」
入店して初めに目につくのは、フランス産のイチゴの濃縮果汁で赤く染まった「イチゴ」(842円)だろう。ずっしりとした重みのあるパンの断面は、ジューシーでプルプルとしたパイナップル、白ブドウ、赤ブドウがこれでもかというほど練り込まれている。生地のみずみずしさも相まって、パンの域を超え、デザートのような感覚を覚える。むっちりとした生地と、表面の香ばしさのコントラストも楽しい。
トーストに最適な食パンや復刻メニューも
「お角」(ホール810円、ハーフ405円)も見逃せない。少ない酵母と、20時間の発酵時間、大量の水分を取り入れることで、ハチの巣のような気泡がいくつも入った食パンだ。トーストするとカリッとしたクラストの苦みと甘みが口の中で交差し、生地は跳ね返るような弾力のあるもっちり感。熱々の表面にはバターやジャムがよく馴染み、気泡の中へと溶けていく。じゅわっと口の中で溶けるような贅沢な味わいが楽しめる。
「あんこマスカルポーネ」(420円)は、前店では手間がかかるためストップしていたメニューだが、不定期で復刻した。みんなのパンと同じ生地だが、ミニサイズに作られているため、通常サイズより水分が抜けていて、焼かずに食べてほしい一品だ。見つけたらぜひ、ゲットしてほしい。
同店の営業は2部制。午前中は予約限定、13時以降は予約なしで購入できる。予約のスケジュールは2週間ごとに枠が設けられ、公式Instagramで都度告知される。取材時は平日の炎天下にもかかわらず、常に行列をなす人気ぶりだった。エコバッグ持参で山盛りのパンを買う人が多かったのも印象的である。
パンはスライスして一つ一つラップで密閉すれば、冷凍庫で1カ月ほど保存できる。ストックしておけば、毎日おいしいパン生活が約束されるだろう。
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