「何とか無事でと思っていた」「これで家族の元に帰れるね」。消息を絶った航空自衛隊小松基地のF15戦闘機に乗っていた操縦士2人の遺体が確認され、安否を案じていた地元関係者からは悼む声が相次いだ。14日で墜落から2週間。すがるような思いで生還を願っていた住民の中には遺体発見の事実を受け止めきれない人もいた。近く機体の引き揚げ作業が始まり、関係者は墜落原因の究明を求めた。
墜落機に搭乗していたのは基地に拠点を置く飛行教導群の群司令、田中公司1等空佐(52)と同群の植田竜生1等空尉(33)。
田中1佐と24年来の付き合いがある小松基地の友好団体「ハイフライト友の会」の上出雅彦会長(70)は、日がたつにつれ、半ば諦めながらも2人の生還を祈り続けてきたとして、「遺体が見つからなければ、無人島にでも流れ着いて生活しているんだろうと思い続けていればよかったが、(亡くなったことが)現実になり、つらい」とうなだれた。
基地周辺105町内会でつくる小松飛行場周辺整備協議会の小前田彰会長(73)は「機体は買えても命は買えない。優秀な操縦士を失ったのは国の損失だ」と述べた。
飛行教導群の協力会「アグレス会」の上田真会長(58)は「ご家族の元に戻ってきたのは何よりだが、残念だ。今後も会としてしっかり支援していきたい」と話し、基地の隊員の心情をおもんぱかった。
小松基地騒音訴訟の出渕敏夫原告団長(74)は「操縦士は日本の空の防人(さきもり)であり、命を懸けて国を守ってくれている。国の宝だ」と悼んだ。離陸後すぐに海側に旋回する飛行方式の見直しが必要とし、機体が引き揚げられて原因究明が進むことを求めた。
加賀市新保町の海岸の捜索現場では14日、花束が手向けられていた。
小松市の宮橋勝栄市長は「無事の帰還がかなわず、痛恨の極みだ。国防や災害のために昼夜を問わず、身をていして第一線で活動されていた。国の存立を担っていただいたことに敬意を表する」とのコメントを出した。
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