自民党総裁選に関する18日の日本記者クラブ主催の討論会では、河野太郎ワクチン担当相の年金制度改革や「脱原発」をめぐり、河野氏へ質問が集中した。年金は岸田文雄前政調会長と高市早苗前総務相が、消費税増税が前提になっているとして追及した。野田聖子幹事長代行は「(電力の)安定供給を保証できないことはあってはならない」として原発政策の真意をただした。(沢田大典)
河野氏は年金について、受給額に最低保障部分を設けたうえで、財源として保険料でなく消費税を充てる制度改革を主張している。
河野氏は「保険料では最低保障の年金を出せないのは構造的に明らかだ」と指摘し、若い世代のために制度の抜本的見直しを訴えた。ただ、類似の制度は過去に民主党が政権公約に盛り込んだものの、財源が手当てできずに見送った経緯がある。討論会では、高市氏が「かなりの増税になると思う」と切り込んだ。河野氏は増税を否定せず「最低保障は税金でやるが、資産や収入が一定以上ある人にはその部分は出さない。金額はそれなりに制限できる」と説明した。
岸田氏は「民主党が(月額)7万円の最低保障年金を議論したが、われわれは『実現不可能だ』と言ってきた」と指摘し、河野氏に「消費税でやる場合に実際何%上がるのか、はっきり答えてほしい」と迫った。
河野氏は「税率は、それだけが切り取られて先に出るからいわないようにしている」と述べ、明言を避けた。保険料や生活保護費が下がるなどの「トータルな支出」をみるべきだとした。
岸田氏は消費税率について「(今後)10年程度上げることは考えない」と述べた。新型コロナウイルス禍の克服と経済回復が優先だとして「この段階で増税をいってしまうとシナリオがガタガタになる」と述べ、河野氏と一線を画した。
原発も違いが浮き彫りになった。河野氏は「再生可能エネルギーを伸ばし、足らざるところを原発再稼働で補う」と重ねて述べた。岸田氏は、使用済み核燃料を再処理して繰り返し使う「核燃料サイクル」を見直す河野氏の考えについて「日米原子力協定をはじめ日本の外交問題にも発展する」と懸念を示した。
高市氏は「高レベルの放射性廃棄物を出さない小型核融合炉に研究開発費を投入する」と主張。野田氏は「エネルギーは安定供給が前提だ」として、地熱発電などの推進を訴えた。
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