新型コロナウイルス経済対策として自民、公明両党は9日、18歳以下の子どもに現金とクーポンを5万円ずつ支給する内容で合意した。「ありがたい」「ばらまきだ」。東北の支援団体や市民の間で賛否が交錯した。
「次男が今春小学校に入学し、教育費がかかっている。ありがたい」。由利本荘市の40代主婦は給付を歓迎する。障害のある長男の介助のため仕事に就けず、ガソリン代や医療費もかさむ。「障害の有無など個別事情に配慮する対応も検討してほしい」と求める。
昨年、政府が支給した国民1人当たり一律10万円の特別定額給付金と異なり、今回は給付が18歳以下に限られる。所得制限導入の可能性もある。対象外となった人の思いは複雑だ。
「もらえるならもらいたかった。大学生は大人でも子どもでもない扱い。コロナ対策でもないがしろにされた」と福島市の大学3年の女性(21)は落胆する。仙台市老人クラブ連合会の久道悦子会長も「困窮する高齢者もいる。(18歳以下が)一律であれば富裕層にも支給することになり反対だ」と訴える。
陸前高田市を中心に東日本大震災で被災したシングルマザーらを支援してきたNPO法人マザーリンク・ジャパン(東京)の寝占(ねじめ)理絵代表は、学校や大学に通う子どもへの一律給付を主張。クーポン支給も反対で「全額現金でいい。貯蓄を懸念する声も聞くが、将来を見据え貯蓄したいと思うのは当然だ」と当事者の思いを代弁する。
生活困窮者や労働者支援を行う団体からも疑問の声が出た。
フードバンクいしのまき(石巻市)の末永博代表は「子どもがいなくて困窮している夫婦もいる。所得制限もはっきりせず、現時点ではばらまきと捉えざるを得ない」と懐疑的。個人加盟制の労働組合仙台けやきユニオン(仙台市)の森進生代表も「医療や教育、介護、保育、住宅手当など必要不可欠な部分に財源を回すべきだ」と強調する。
七十七リサーチ&コンサルティング(仙台市)の田口庸友首席エコノミストは「これまで高齢者に手厚い施策が多かった。恒久的に世代間のバランスを整えるきっかけになればいい」と指摘。「育児世帯は可処分所得が低い世帯も多く、感染リスクを考えて外出を控えがちな高齢者よりも消費に回る可能性は高い」と景気への好影響を期待した。
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