2021年08月29日08時41分
日本政府によるアフガニスタンからの邦人や大使館の現地スタッフの退避作戦は、事実上の活動期限である27日を過ぎ、継続は困難な状況となってきた。自爆テロによる治安悪化などの影響で、最大500人と想定する退避希望者の多くはアフガン国内に残されたまま。派遣の根拠である自衛隊法に活動を制約され、自衛官は首都カブールの空港から一歩も外に出られなかった。
政府は当初、退避希望者の空港までの移動手段について、「各自で確保していただくしか仕方ない」(岸信夫防衛相)としていた。しかし、イスラム主義組織タリバンが24日にアフガン人の出国を認めない考えを表明したことを受け、方針を転換。26日には空港へ向かうバスを20台以上用意したものの、空港ゲート付近で自爆テロが発生したため、移動を断念した。
今回、自衛隊員の任務は自衛隊法84条の4に基づく「輸送」で、空港内での邦人らの誘導と空自機による退避が中心。同法は輸送を「安全に実施することができると認めるとき」に限定しており、米軍が安全をコントロールできる空港内でのみ活動することとした。自衛官が市中に退避希望者を迎えに行き、警護して連れてくることはできなかった。
2016年施行の安全保障関連法で、新たに在外邦人らの救出や警護を認める「保護」(自衛隊法84条の3)が可能となり、より強い武器使用権限も与えられた。しかし、派遣先となる受け入れ国の同意や現地の治安が維持されていることが要件で、タリバンが支配するアフガンでの適用は見送った。
要件をめぐっては、24日の自民党国防部会などの合同会議で「安定していないからこそ(保護の)ニーズがある」として、緩和を求める声が上がった。防衛省内からも「今回の件をきっかけに議論を始めてほしい」と法改正に期待する声も出ている。
からの記事と詳細 ( 自衛隊、退避作戦に法的制約 安全確保できず、空港くぎ付け―アフガン - 時事通信ニュース )
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