8月24日夜、男は黒ずくめ姿で赤坂見附駅から不動産会社に勤める会社員男性Aさん(22)を尾行した。溜池山王駅でAさんと同じ車両に乗り換えて白金高輪駅で下車、Aさんが改札を出ると数メートル後ろにぴたりとつけ、出口のエスカレーター付近で、追い抜きざまに持っていた硫酸をふりかけた。 【画像】黒い洋服で羽田空港に護送された花森容疑者 Aさんは顔にやけどを負い、失明こそまぬがれたが両目の角膜が損傷し全治6カ月の傷を負った。Aさんの後ろをたまたま歩いていた会社員女性(34)も液体が足にあたり軽傷を負った。男はAさんが通っていた大学の先輩だった――。
父親は有名な整体師、母親も医療関係者
東京の高級住宅地、白金でおきた“硫酸事件”。8月27日、傷害の疑いで全国に指名手配をされたのは、静岡市葵区に住む大学生の花森弘卓(ひろたか)容疑者(25)。 「捜査本部は事件発生当初から顔見知りの犯行の線で動いており、花森の行方を防犯カメラなどの画像から追っていた。花森は事件後、JR品川駅から新幹線で静岡に戻った後、中部国際空港から大学時代に過ごした沖縄へと飛び立った」(社会部記者) 静岡県の自宅の近隣住人によると、幼少期から「おとなしい性格だった」という花森容疑者。一人っ子で両親が既に他界したため、現在は実家で1人暮らしだという。 「父親は地元では有名な整体師で、母親も医療関係の仕事についていました。母親が中国の血を引いていてとても美人で目を引く存在でした。家族はとても仲がよく、夏休みなどに3人で中国へたびたび旅行に行っていた」
事件当日の朝、花森が初めて見せた行動
花森は地元の小中学校を卒業後、サッカーで有名な私立高校への進学を経て沖縄の国立大の農学部へ進学した。しかし高校卒業直前から大学生の頃にかけて悲劇が続いた。 「7年ほど前に父親が病気で亡くなったと聞いています。その数年後には母親も亡くなってしまった。弘卓くんは沖縄を引き払って静岡へ戻り、事情が事情ということで、静岡の大学に特待生扱いで編入することになり、大学ではカブトムシの研究をしていて、家の中に土などを持ち込んでいたと親族から聞きました。両親が健在のときは家も片付いてガレージに綺麗なバラも咲いていたのですが、彼が1人で住むようになってからは研究で使っているらしい土が散乱し、自転車も倒れるなど荒れ放題だった。最後に彼をみかけたのは24日の朝で、珍しくガレージを掃除していました。そんな姿は見たことがないので、今思えばその時点ですでに荷物の整理をしていたのかもしれません」(同前) 硫酸を事前に準備するなど、今回の犯行は計画的だったと見られているが、被害を受けたAさんの大学時代の友人は「Aは皆に慕われていて、恨みを持たれていたとは考えづらい」と証言する。 「Aは関東出身で、関東の大学を受験したのですが合格せず沖縄の大学にしたと聞きました。それでも決して腐ることなく、『いつかは起業したい』という志を持って勉強も頑張っていた。就活も誰よりも汗を流して今の会社に入り、1日100件以上も電話をかける厳しい営業ノルマを文句も言わずこなしていました。料理も得意で、から揚げを皆に振舞ってくれたり、勉強もよく教えてくれた。大学時代に交際していた女性はいましたが、女性トラブルの話も聞いたことがありません」
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