新型コロナウイルスの感染拡大で政府が観光支援事業「Go To トラベル」を全国で一時停止すると表明してから一夜明けた15日、静岡県内観光地の宿泊施設にはキャンセルが殺到した。ほぼ満室だった年末年始の予約は一晩で一変し、百件以上のキャンセルが出た施設もある。最大の書き入れ時を目前にしての国の方針転換。関係者は「年末年始に通常営業できるように重ねてきた現場の努力が報われない」と嘆いた。
伊東市内では多くの宿泊施設でキャンセルが続出した。「GoTo停止は人の動きを止める強いメッセージになった」と話すのは伊東観光協会長を務める老舗旅館「陽気館」の稲葉明久社長(56)。感染防止優先が鮮明になり、「割安プランで誘客するような営業努力もできない」と苦しい胸の内を吐露した。
熱海市の旅館「ニューとみよし」では約70件のキャンセルがあった。政府はキャンセルされた旅行代金の50%を補償する方針だが、納入業者や土産店などへの救済策は見えてこない。富岡篤美社長(64)は「観光地の経済循環が途切れてしまう。宿泊客は一定数いるので、地域共通クーポンだけでも続けてほしい」と切望した。
関係者によると、この時期は大半の旅館・ホテルが正月用の高級食材などの仕入れを終えているという。浜松市中区のオークラアクトシティホテル浜松も食材を発注済みで、顧客と取引先の両方の対応に追われる。担当者は「キャンセルはさらに増える可能性があるが、それでも来てくださるお客さまはいる。引き続き感染対策を徹底して迎えたい」と強調した。
一時停止の複雑な制度は旅行者の混乱も招いている。伊豆の国市の温泉旅館「おおとり荘」には「(一時停止が始まる)28日にチェックアウトする場合はどうなるのか」などの問い合わせが相次いだ。原勝政支配人は「GoToに助けられている部分もある。詳細が分かり次第、しっかり説明していく」と情報収集を急ぐ。
静岡県内160事業所が加盟する県旅行業協会の遠藤勝久会長(64)は「協会員は厳しいガイドラインに沿い、万全の対策をしている。感染拡大が旅行業界のせいにされるのはつらい」と訴えた。
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