政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は11日の記者会見で、感染状況が4段階のうち2番目に深刻な「ステージ3」相当と分科会がみている地域の一部について、観光支援策「Go To トラベル」を一時停止するよう求めた。
「かなり強い対策を3週間しているにもかかわらず、高止まりの状況になっている地域がある」――。尾身氏は同日の分科会後の会見でこう語り、感染拡大が抑えられない現状に危機感をあらわにした。そのうえで「(この状態が続けば)さらなる(対策の)強化が必要だということだ」とも語り、国による追加の対応策の検討が必要との考えを示した。
会見に先立って開かれた分科会では、感染状況が「ステージ3」相当と分科会がみる地域について、状況を(1)減少(2)高止まり(3)拡大継続に分類し、(2)と(3)の地域ではトラベル事業などの一時停止を求めることを決めた。
分科会は11月以降に再び急増した感染者数を抑えるため、感染拡大地域では3週間程度、集中して対策するよう求めてきた。新型コロナ対策を担当する西村康稔経済再生相は11月25日以降を「勝負の3週間」と位置づけ、政府はマスクの着用や手洗い、「3密」の回避など、基礎的な感染防止策の徹底を求めてきた。
だが尾身氏は11日の会見で、「勝負の3週間」について現状の感染状況を念頭に「もしかすると十分効果を上げていないということを意味するんだと、我々(分科会)は考える」と発言。「さらに(対策を)加えないとだめだということを我々は強調している」と訴えた。
さらに分科会では、「地方と国で一体感がない」「国は、地方公共団体が迅速な決定が行えるよう後押ししていただきたい」などとする「強い意見」が出たと説明。地方自治体に比べ政府の取り組みが鈍いことへの不満をにじませた。(中田絢子、山本知弘)
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