Tuesday, December 15, 2020

コロナ・GoToで逆風 党重視、調整役不在―菅政権3カ月 - 時事通信ニュース

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2020年12月16日07時07分

首相官邸に入る菅義偉首相=15日午前、東京・永田町

首相官邸に入る菅義偉首相=15日午前、東京・永田町

 菅義偉首相は16日、就任から3カ月を迎えた。発足当初の内閣支持率は6~7割台と順調な滑り出しだったが、新型コロナウイルスの感染再拡大を止められず、看板政策「Go To トラベル」は年末年始の一時停止に追い込まれた。「政治とカネ」の問題も相まって内閣支持率は急落。官僚ににらみを利かせる政治手法の副作用も指摘されている。

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 「日々の感染者が3000人を超える中、年末年始に集中的な対策を取るべきだと考え、いったん停止を決断した。これ以上の感染を食い止めることに全力を挙げたい」。首相は15日の自民党役員会で、トラベル停止の判断に党側の理解を求めた。
 派閥に属さず党内基盤が弱い首相の後ろ盾となっているのは二階派だ。14日のトラベル停止決定も事前に二階俊博幹事長には伝えた。安倍政権が全国一斉の休校要請などのコロナ対応で与党への十分な説明がなかったことを教訓にしているのは明らかだ。
 トラベル停止について、首相は11日のインターネット番組で「まだ考えていない」と否定した。ただ、首相周辺によると、年末年始に限って止める選択肢は、東京都での感染者が初めて600人に迫りつつあった9日ごろから内々に検討していたという。
 首相の方針転換に自民党幹部は14日夜、強い不満を漏らしつつも渋々容認した。別の幹部は「観光・運輸業界に影響力がある二階氏が了解を出したのだろう。二階氏はGo Toを絶対に止めるなと言っていたのだが」と解説した。安倍政権時代の「官邸1強」から「党高政低」への力学変化が浮き彫りとなっている。
 ただ、書き入れ時となる年末年始の停止によって、宿泊業者や飲食店に一層の打撃となりそうだ。今回の対応で感染を抑制できるかも見通せない。政府関係者は「トラベル停止で支持率は戻らない。全国停止の効果がなければ、また批判が出る」と危惧する。
 人事権を武器に官僚を掌握しているとされる首相の政治手法の限界を指摘する向きもある。同党中堅は「首相に物を言える官僚が周囲にいない。首相の方針を否定するようなことを言えば更迭されると思うから何も言えない。腹心もいない」と語る。本来調整役となるべき官房長官が「機能していない」との声も多く、先の高齢者医療費負担の問題が長期化したことが如実にそれを示した。
 政権運営の不安材料はほかにもある。鶏卵業者から金銭を受け取った疑いがある吉川貴盛元農林水産相と西川公也前内閣官房参与(元農水相)は首相に近い。捜査の行方次第で政権への打撃は避けられず、次期衆院選へ党のイメージダウンになり得る。安倍晋三前首相の後援会が主催した「桜を見る会」前夜祭の疑惑再燃も含め、野党の攻勢にさらされそうだ。

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