底が見えない腐敗の深さである。東京五輪・パラリンピックをめぐり、汚職事件に続いて新たな不正疑惑が明らかになった。
五輪テスト大会の関連事業で談合したとして、東京地検特捜部と公正取引委員会が電通本社などを独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で家宅捜索した。五輪再生のため、徹底した捜査でウミを出し切らねばならない。
2018~21年に開催された水泳やサッカーなどのテスト大会の計画立案業務の入札で、事前の調整で受注企業を決めた疑いがある。テスト大会の受注企業は本番も随意契約で業務を請け負っていた。談合が事実なら、大会そのものがゆがめられたといえる。
大会組織委員会によると五輪・パラリンピックの開催費用は1兆4238億円で、その55%を国と東京都が負担した。公費分は計画段階の1.8倍に膨らんだ。談合で競争原理が働かず、費用が不当につり上がった可能性は否定できない。捜査の進展を見守りたい。
電通はスポーツビジネスの分野で大きな力を持ち、東京大会で中心的役割を果たした。一方で受託収賄罪で起訴された組織委の高橋治之元理事の出身企業であり、汚職事件の際にも家宅捜索を受けた。五輪イメージを失墜させた責任は重い。説明責任を果たす必要がある。
業務を発注した組織委には受注企業から複数の社員が出向していた。特捜部は組織委側が談合に関与していた疑いがあるとみて調べている。
汚職事件でもスポンサー選定などで高橋元理事の専横を許した構造が浮き彫りになった。なぜチェック体制が働かなかったのか。組織委のガバナンス不全は深刻だ。
捜査とは別に、東京都は契約や業者選定の手続きが適正だったか調査する方針だ。汚職事件の再発防止策も検討するという。
中途半端な結論では五輪に対する不信を拭うことはできない。大会運営を担った関係者の覚悟も問われている。
からの記事と詳細 ( [社説]五輪の闇はどこまで深いのか(写真=共同) - 日本経済新聞 )
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