北海道紋別市の紋別港沖で26日早朝、紋別漁業協同組合所属の漁船「第8北幸丸」とロシア船籍の運搬船「AMUR」(アムール)が衝突し、3人が死亡した。船長や遺族らは「普段通りの漁のはずだったのに」とやりきれない思いを吐露した。
「ものすごい衝撃で海に投げ出された」――。5人が乗船していた第8北幸丸の吉岡照由船長(63)は衝突の瞬間をこう振り返った。
事故はカニかごを仕掛けていた漁場で起きた。吉岡船長は作業前、レーダーに加えて目視で他の船がいないことを確認し、カニかごを引き揚げ始めた。その後、途中で霧が深くなってきたため、もう一度レーダーを確認しようと
紋別海上保安部によると、死亡したのは機関長の沼端賢良さん(64)、甲板員の井上征俊さん(37)、同じく甲板員の今野俊介さん(39)。5人とも事故直後、衝突したロシア船に救助されたが、移された同部の巡視船「そらち」に乗船していた医師により3人の死亡が確認された。吉岡船長は「まさかこんなことになるとは」と声を詰まらせた。
市内に住む60歳代の井上さんの父は「家族のために責任を持って仕事に取りくんでいたのに」と声を震わせた。
井上さんは妻と子ども4人の6人家族で、祖父を継いで18歳で漁師になった。井上さんの父は「ロシア船の不注意で起きた事故だと思う。海保にはしっかりと真相を明らかにしてほしい」と語気を強めた。
沼端さんは、30年以上漁師を務めた大ベテランだった。近くに住む70歳代の女性は「取った魚をお裾分けしてくれる気がいい人だった」と惜しんだ。
今野さんは町内会の班長が高齢を理由にやめた時、率先して班長を引き受けた。近くに住む男性は「はきはきとあいさつする好青年。本当に残念」と話した。
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「船舶自動識別装置(AIS)」の発信状況を公表している「マリントラフィック」によると、運搬船「AMUR」はサハリンを出港後、オホーツク海を約10ノット(時速約18キロ)で南東に進んでいたが、紋別港沖約20キロ付近で右に方向転換し、紋別港に向けて針路を取った。その直後、速度を急激に落とし、その場で止まっており、この時点で第8北幸丸と衝突した可能性がある。
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