菅義偉首相が「先進国で最速」と豪語し、順調さをアピールする日本のワクチン接種。だが、単位と引き換えに募った五輪ボランティアの大学生には未接種、防衛省接種センターの予約は相変わらず勝手に消え、国から唐突に供給を止められた埼玉県知事は激怒。さらに不手際を指摘された河野太郎ワクチン担当相は逆ギレ反論する始末だ。「裏切り」が渦巻くワクチン接種は、今後どうなる。(大平樹、榊原崇仁)
◆菅首相「順調」PRも…
「ワクチン接種を終えていない長女が、選手村でボランティアを予定している。本人は『どの選手に会えるかな』と楽しみにしているようだが、感染しないか心配だ」。東京都多摩地域に住む男性(65)が声をひそめた。桜美林大(町田市)に通う長女(20)は7月下旬の4日間、組織委のボランティアとして、バスの誘導などに当たる。
ボランティア参加は授業の一環で行われ、大学の単位として認められる条件。長女は担当教員から、ワクチン接種の有無に関係なく参加を求められたという。男性は「選手村では感染者が連日判明している。長女の健康だけでなく、自宅と選手村の往復の際に感染を広げないか」と気をもむ。
同大広報課によると、一部の授業で五輪ボランティア参加を必須にしている。同課の須田章太郎さんは「学生が授業を選んだ4月頭に比べて感染が拡大している。最終的に参加するかどうかは学生各自の判断だが、不参加でも単位と認めるかどうかは、担当教員に委ねられている」と話す。
組織委はボランティア7万人分のワクチンを確保したというが、接種は希望者のみ。モデルナ製は1回目が6月30日~7月3日に行われ、2回目は31日以降だ。65歳以上で接種済みの人や、地域や職域で接種する人も一定数いるとはいえ、開幕日の23日時点で未接種の人も多そうだ。組織委は「接種はあくまで任意で各人の判断にもよることから、接種者数は分かりかねる」とする。
◆防衛省予約システム 今も不具合
一方、「虚偽番号でも予約可能」「正しい番号でも予約不可能」「予約が勝手に消える」と次々に欠陥が判明した防衛省の東京大規模接種センター予約システム。同省が改修を表明してから約2カ月たつが、まだ「予約が消える」という。
「夫の接種予約が勝手にキャンセルされた」と訴えるのは、都内在住の30代の会社員女性。地元自治体での接種が見通せず、頼ったのが大規模接種センターだった。今月半ばにスマホで夫と自分の予約を取った。予約確定画面が出て安心した数時間後に再び確認すると、2人とも画面に「予約がありません」と出た。
驚いてコールセンターに問い合わせると、夫の予約はキャンセルされ、自身の予約は残っていると説明された。予約サイトはアクセス集中でつながりにくく、苦労の末に取った予約を取り消すはずがない。それでも担当者は「システムに問題がないのは間違いない。キャンセルされている」。押し問答の末に夫の予約を復活させてもらい、夫婦とも接種を受けられた。
女性は「1台のスマホで続けて2人分を予約したせいなのか」としつつ、「夫の予約が勝手にキャンセルされ、自分の予約は実際にはあったのに『ない』と表示された。問題が指摘されて時間がたつのにまだ不具合があるのは、政府のシステムとしてお粗末すぎる」とあきれた様子で話した。
「こちら特報部」はこの問題で同省に問い合わせたが、「担当者とのやりとりに時間を要している」として、21日午後8時までに回答を得られなかった。
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