★コロナ禍の18日、投開票が行われた兵庫県知事選は、自民党分裂選挙となった。自民会派を割った13人の県議(自民党兵庫)と国会議員が推す元大阪府財政課長・斎藤元彦(自民・維新推薦)と、元々自民会派を構成していた32人の県議が支える前副知事・金沢和夫が保守分裂選挙の主役だが、斎藤が25万票の差をつけて勝利した。19日付の朝日新聞大阪本社版は選挙結果を1面左肩で「維新推薦候補、大阪以外では初」と伝えた。
★関西政界関係者が言う。「昨年にさかのぼるが前知事・井戸敏三が後継指名を表明しないことから県選出国会議員が人選に動き出したことから始まる。昨年11月、県連会長・谷公一、兵庫選出の経済再生相・西村康稔、党幹事長・二階俊博、兵庫県淡路島に本社機能を移したパソナ代表取締役グループ代表兼社長・南部靖之ら11人が集まった。当初は総務省事務次官・黒田武一郎の名前が挙がったがうまくいかず、ここで斎藤が大筋で固まった。3月31日、自民党本部での県選出議員の会議では金沢対斎藤で紛糾するが、西村は『維新の推薦もある、若くて勝てる候補を』と斎藤一本化を強く進言。最後は『西村が推すなら』と斎藤支持に傾いた」という。衆院選を前に、党勢拡大したい維新と融通の利く知事が欲しい西村の思惑が一致したのだろう。
★ただ県議は西村の思惑を見透かしていて、西村への反発も強くまとめきれず分裂選挙になった。選挙結果は斎藤の圧勝となったが議会のしこりは大きい。斎藤擁立に動いた自民党離反組の13人と維新の会の8人を加えても21人で、定数の4分の1にも満たない。最近の保守分裂選挙の構図はこの兵庫のケースに似ている。強引に割り込み議席は取るが、あとの残務処理に手間取る。これでは自民党の足腰が弱くなるはずだ。(K)※敬称略
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