ハロウィーン当日を迎えた31日、東京都渋谷区のJR渋谷駅周辺では、仮装した人が例年より少なかった。新型コロナウイルスの流行を受けて区が異例の来訪自粛を呼びかけており、「例年より大分少ない」との地元商店街関係者の声もあったが、ハチ公前広場などでは観光客や見物人が集まり、一時身動きが取りにくくなる場面もあった。
「コロナは怖いけど、人が少ないと思って来ました」。新宿区の女子中学生(13)は漫画やアニメが大ヒットしている「鬼滅の刃」の主要キャラクターの仮装を楽しんだ。区の自粛要請は知らなかったといい、「予想より人は多いけど、(感染するかどうかは)運かな」と話した。
周辺には警視庁の機動隊員や区の警備員が多数配置され、「立ち止まらないでください」「ハロウィーンを目的とした集会はお控えください」などと呼びかけた。仮装した女性を呼び止めて写真を撮っていた男性会社員(28)は「警備が厳しいのは仕方ない。コロナはマスクをしていれば大丈夫だと思う」と話した。
ハロウィーンの渋谷駅周辺では例年、泥酔客などによるトラブルが相次いでいた。渋谷センター商店街振興組合の小野寿幸理事長(79)は31日午後6時ごろの人出を「例年の2割くらい」と推測。「若い人が自粛要請に協力してくれた」とほっとした表情で語った。
一方、結婚式に出席するため偶然渋谷駅に来たという川崎市の女性会社員(27)は「自粛要請が出ているのに、仮装した人が意外と多い」と話し、ハチ公前広場にできた人だかりに「これじゃあ『密』ですね」と疲れた様子を見せた。【斎藤文太郎】
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