2023年06月26日16時49分
東京都調布市を走行中の京王線車内で2021年10月、乗客1人をナイフで刺し、車内に放火したとして、計13人に対する殺人未遂と現住建造物等放火などの罪に問われた無職服部恭太被告(26)の裁判員裁判の初公判が26日、東京地裁立川支部(竹下雄裁判長)であった。服部被告は、刺傷や火を付けたことは認めた一方、放火について「殺人未遂の対象になるか分かりません」と述べた。
「逃げ場なく恐ろしかった」 乗客男性、混乱の車内撮影―京王線刺傷26日初公判
弁護側は、放火による殺人未遂罪の成立を争う姿勢を示した。判決は7月31日言い渡しの予定。
検察側は冒頭陳述で、「服部被告がジッポライターに点火した時点で12人の被害者には焼死の危険があった」と指摘。同被告が放火で乗客が死亡する可能性を理解していれば、具体的な人数などを認識していなくても故意は認められるとした。
動機については、勤務先のトラブルや元交際相手の結婚を機に「自分には存在価値がない」「死にたい」と思うようになったと主張。過去に自殺に失敗したことから、「ハロウィーンに無差別殺人をして、死刑になろうと考えた」と述べた。
証拠調べでは、押収した服部被告のスマートフォンに、「逮捕され死刑になるのが目的。決行日はハロウィーン。殺害予定人数10人以上」などとする21年7月作成のメモが残されていたと明らかにした。
弁護側は、乗客に死亡の危険が生じたのは点火ではなくライターを投げた時点で、12人の被害者は既に隣の車両へ避難していたと反論。「乗客3人程度が近くにいると認識していたが、12人の被害者とは別人で、(12人への)殺意はなかった」とした。
起訴状によると、服部被告は21年10月31日午後7時55分ごろ、京王線上り特急車内で乗客の70代男性の右胸をナイフで刺したほか、別の乗客12人に目掛けてペットボトルに入ったライター用オイルをまき、火が付いたジッポライターを投げて放火し、殺害しようとしたとされる。
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