先進7か国首脳会議(G7サミット)が19日に開幕するのを前に、岸田首相は18日、広島市で参加国の首脳らとの個別会談を始めた。初日は米国のバイデン大統領、英国のスナク首相、イタリアのメローニ首相とそれぞれ会談し、法の支配に基づく国際秩序を維持・強化することで合意した。各首脳と顔を合わせ、サミット直前に認識をすりあわせる狙いがある。
バイデン氏との会談は、首相が米ワシントンを訪問した今年1月以来で、約1時間10分行われた。両首脳は、経済安全保障分野で人工知能(AI)やバイオを含む重要技術の育成・保護について協力することでも合意した。
首相は会談の冒頭、「日米協力が飛躍的に進展している」と述べ、先端半導体を含む重要技術の研究開発に関する連携強化に意欲を示した。米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)と連携した研究拠点を東京都内に創設する考えも明らかにし、協力を求めた。
両首脳は、強引な海洋進出を進める中国を念頭に、「力による一方的な現状変更の試みを許してはならない」との認識を共有。「台湾海峡の平和と安定の重要性」を確認し、引き続き緊密に連携することで一致した。首相は「日米同盟はインド太平洋地域の平和と安定の礎だ」とし、バイデン氏は「日米が共通の価値観のもとで行動していることを誇りに思う」と語った。
ロシアのウクライナ侵略を巡っては、対露制裁とウクライナ支援の継続を確認した。ロシアに対抗するため、「グローバル・サウス」と呼ばれる新興・途上国との連携が欠かせないとの認識でも一致した。
日韓関係では、首相が今月上旬に訪韓したことを説明すると、バイデン氏は「日韓関係の改善を歓迎する」と応じた。これを踏まえ、北朝鮮の核・ミサイル問題で日米韓が緊密に連携していくことを確認した。
スナク氏との会談は夕食を交えて行われ、防衛や貿易分野の協力強化をうたう「広島アコード(協定)」に合意した。自衛隊と英軍が共同訓練をしやすくする「円滑化協定」(RAA)に基づき、英国が2025年に空母打撃群をインド太平洋地域に派遣することでも一致した。中国による東・南シナ海での強引な海洋進出について「深刻な懸念」を共有。「力による一方的な現状変更の試みに強く反対」すると訴え、「台湾海峡の平和と安定の重要性」を改めて確認した。
メローニ氏との会談では、今年1月に両国の関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げしたことについて、協力を深化させることで合意した。
岸田首相は19日午前にはカナダのトルドー首相、ドイツのショルツ首相、フランスのマクロン大統領ともそれぞれ会談する予定だ。
【日米同盟】
岸田首相 インド太平洋地域の平和と安定の礎だ。
バイデン大統領 日米両国は基本的価値を共有しており、日米同盟はかつてなく強固だ。
両首脳 日米同盟の抑止力・対処力の強化に向けた協力を継続。
【拡大抑止】
両首脳 米国の拡大抑止が、日本の防衛力と相まって、日本の安全、地域の平和と安定の確保に果たす不可欠な役割を再確認。
【中国】
両首脳 力による一方的な現状変更の試みを許してはならないとの認識を共有。台湾海峡の平和と安定の重要性を確認。
【北朝鮮】
両首脳 北朝鮮の完全な非核化に向け、日米、日米韓の緊密な連携で一致。
【ウクライナ】
両首脳 対露制裁とウクライナ支援の継続で一致。
【G7サミット】
首相 日米ともに掲げる「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」を守っていくG7の揺るぎない意思を示したい。
両首脳 G7の揺るぎない結束を世界に示すべく、緊密な連携で一致。
【技術協力】
両首脳 重要技術の育成・保護の重要性に関する認識を共有し、バイオや人工知能(AI)の分野で協力することで一致。
からの記事と詳細 ( 日米首脳会談、対中国・ロシアで連携確認…バイデン氏「日韓関係の改善を歓迎」 - 読売新聞オンライン )
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